山梨の農業

山梨県農業のすがた

●おいしい農産物を作るために適した気候です

山梨県の気候は、①「昼と夜」の一日の気温差が大きい、②年間の日照時間が日本一長い、③年間の降水量が少ない、という内陸性気候で、おいしい「くだもの」や「野菜」の栽培に適しています。太陽の光がたくさんあたることで、農産物を甘くする素(でんぷん)が作られます。一方、夜の気温が低いと、そのでんぷんは無駄に使われず、「くだもの」などの内部に貯えられ甘み(糖分)に変わります。だから山梨県で育った農産物はおいしいのです。また、降水量が少ないと病気にかかりにくく元気な農産物が育つのも特徴です。

山梨県の気候グラフ

●狭い農地を上手に利用しています

山梨県は四方を山に囲まれ、県全体の77.5%が森林です。農地はわずか5.7%と非常に狭く、しかも農地の3分の2は山沿いの地域にあり、農業を行うには不利な条件です。農家一戸あたりの耕地面積は、全国平均値の約3分の1(0.74ha)と狭いですが、その狭い農地を最大限に使い、ビニールハウスなどの施設栽培が行われるなど、土地生産性(10aあたりの生産農業所得)は常に全国上位となっています。

山梨県農地耕地面積グラフ

●地域の自然を活かした農業が行われています

山梨県の農業は、気候や風土に適した果樹が栽培され、「果樹王国やまなし」として全国に有名です。また東京などの大消費地に近い立地条件を活かし、県内の各地域でそれぞれの特性を活かした農業が行われています。
画像をクリックすると拡大します。

山梨県地域農産物詳細

 

生産量日本一!
ぶどう もも すもも
42,500t 39,900t 7,990t
巨峰の写真 ももの写真 すももの写真

資料:山梨県農政部「平成28年農業及び水産業生産額実績」

果 樹


写真:桃の光センサー選別

本県は、落葉果樹の栽培に適した自然条件を最大限に生かして、生産量日本一のブドウ、モモ、スモモをはじめサクランボ、カキ、リンゴ、ウメなど多種多様な果実が生産され「くだもの王国山梨」の名を全国に広めており、市場や消費者から高い評価を受けています。

平成28年の果樹栽培面積は10,143haとなっており、近年ブドウでは巨峰、ピオーネなどの大房系、モモでは日川白鳳、浅間白桃などの優良品種への改植が進んでいます。

さらに、果樹栽培の施設化やブドウのウィルスフリー化、光センサー選果機の導入、また、化学肥料や化学農薬使用の削減による環境負荷の軽減に配慮するなど消費者に喜ばれる高品質果実の安定生産に取り組んでいます。

野  菜


写真:親子でレタス狩り(北杜市明野町)

甲府盆地、峡北地域、富士北麓地域を中心に立地条件や自然条件を巧みに生かしながら特色ある産地が形成されつつあります。

平成28年の作付け面積は3,007haで、スイートコーン、ナス、キュウリ、トマトなどを中心に高品質の野菜生産が進められています。最近では、有機農産物等の環境に配慮した野菜の生産や、水田への野菜の作付けが増えています。

畜 産


写真:県産銘柄肉豚「フジザクラポーク」(畜産試験場)

峡北地域の肉用牛と酪農、富士西麓地域の酪農、峡中・峡東地域の養豚が代表的なものです。各畜種とも経営規模拡大と専業化が進んでおり、経営安定農家が多いことから今後とも発展が見込まれます。

バイオテクノロジーなどの活用による家畜の改良増殖、甲州牛、甲州ワインビーフ、系統豚「フジサクラ」を利用した「フジザクラポーク」、甲州地どりの銘柄化をはじめ手作りハムなどの高品質畜産食品の開発、普及・消費拡大対策などが総合的に進められています。

一方、家畜糞尿を土づくり対策の貴重な資源として活用することにより、環境保全型農業の中核を担っています。また、県内の公共牧場の「まきば公園」などの都市住民との交流拠点の整備により、酪農地域に広がるのどかな牧場風景のなか、家畜とふれあい、牧場体験を通じた情操教育の場としての機能も注目されています。また、牛肉を中心とする県産食肉のトレーサビリティーシステムの取り組みを行っています。


写真:昔ながらの方法で脱穀を体験
(甲斐市)

峡北地域を中心に、峡中、南都留地域で多く、平成28年の水稲作付け面積は4,990haです。主な品種はコシヒカリ、ひとめぼれ、こいごころ、あさひの夢、日本晴。また、古くから峡北地域の釜無川流域(武川筋)で生産される米は「武川米」と呼ばれ、南アルプスの清流と砂質の土壌に育まれたおいしいお米として知られています。

水田のほ場整備が進み、カントリーエレベーターの設置など生産コストの低減に取り組んでいます。また、無農薬、無化学肥料などによる(有機栽培米)、酒造好適米、アイガモ有機農法など特色ある米づくりにも取り組んでいます。

花 き


写真:スターチスの栽培(甲府市)

地域の自然条件を生かしながら、平坦地から高冷地まで特色ある産地が形成されています。

甲府市、中央市(玉穂町)、北杜市(高根町)のシンビジューム、コチョウラン、南アルプス市、富士河口湖町のシクラメンなどの鉢花、笛吹市御坂町のバラ、八代町のキクなどが代表的なものです。

生産規模は全国的に見ると小さいが、近年、花の需要増大、高級化に伴って、生産額も年々順調に伸びており、今後、本県の地域特性を最大限に生かして施設栽培の推進などによる産地の強化及び女性や高齢者が取り組む新産地づくりを積極的に進めることにしています。

その他


写真:やぶきた種の一番茶摘み(南部町)

本県の茶栽培面積は平成28年には116haであり、大部分は茶の生育に適した峡南地域で栽培されています。品種は「やぶきた種」で、一番茶を主体に製品としているため、優雅な味と香り、さらに豊富なビタミンCを含み「甲斐のみどり」の銘柄で消費者の好評を得ています。

古くから全国的にも名を知られている、ほうとう、ワイン、地酒、菓子類、甲州小梅漬、ころ柿など、本県の農業生産と結びついた伝統的な特産品づくりが行われてきましたが、近年、各地で地域の顔となる農産物の生産やその加工品づくりが盛んとなり、早だしタラの芽、山菜およびその加工品、モモのシロップ漬、ブドウのジャム、手づくり味噌、手づくりハム、ヤマメの薫製など新たな特産品が生まれてきています。